Tomio Koyama

Bemjamin Edwords

21 Jun - 12 Jul 2008

© Installation view
BEMJAMIN EDWORDS
"Democracity"

ベンジャミン・エドワーズが描き出すのは、現代のデジタル・テクノロジーを駆使した、架空の建築からなる架空の都市の肖像です。精緻なコンピューターグラフィックスの下絵が、建築物のサンプルとして膨大にストックされ、それらは1つずつ3Dに投影されながら、やがて壮大な仮想都市となってペインティングの中に姿を現します。その制作過程は、あたかも私たちを取り巻く情報の洪水や目に見えない規律が、次々と道路や看板、ビルに姿を変えて、新しい都市を構築していくかのようです。都市の形態を形作るものとは何なのか、そこには生活者の社会行動、消費行動、そこから噴出するリビドーまでも、その機能や意匠へと確実に反映されているのではないでしょうか。絵画の中に現れる巨大なモニュメントを取り巻く権力の趨勢はすぐに塗り替えられ、ある時は公共施設、あるいは寺院、あるいはオフィスビル、ショッピングモール、とその姿を変えていきます。
CGを基にペインティングを構築していく手法は、新しいテクノロジーと絵画平面という歴史とを往還する、きわめて現代的なアプローチであるとも言えます。「資本主義者の理想郷(Capitalist Utopias)」や「共和国の起源(The Origins of Republic)」など、ポストモダンを生きる私たちを取り巻くテーマを、作家は繰り返し取り上げています。